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Nippon Salone
Milano Expo

For Government of Japan

Experience Design, Curation

デザインの街ミラノで、2015年に万博が開催されました。「地球に食料を、生命にエネルギーを」をテーマに140の国と国際機関が参加した国際博覧会、通称ミラノ万博です。各国が素敵なパビリオンを競い合う万博会場だけでなく、街全体がイベント会場となるような賑わいを見せていました。

日本は、日本館とは別に、1576年築のステッリーネ宮殿に「ジャパンサローネ」を設置。万博会場では規制の関係で実施できない企業宣伝やBtoB商談会、BtoCプロモーションなどを行い、イタリアと欧州周辺国の食関係者や一般の方々に日本をより知っていただき、日本のプレゼンスを高める事業として実施されました。

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近衞は、ジャパンサローネのクリエイティブ・ディレクターとして、直筆の文字を組み合わせたロゴ「にっぽん サローネ」をデザイン。そして、会場全体を、日本の食文化をテーマにした商業空間へと変貌させるべく、エントランスゲートに自らデザインした巨大な暖簾を設置。さらに、塩を用いたインスタレーション作品で世界的に評価の高い日本人アーティストをキュレーションして、入り口正面の空間を演出。大きな和食店に、来場者をお迎えするというコンセプトで臨んだのです。

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日本料理店でお客さんを迎えるのは、結界としての役割がある暖簾と盛り塩です。暖簾は、お客さんがお店で最初に手で触れるもの。海をイメージした3枚重ねの暖簾が、微妙に色を変化させるのを楽しんでもらうことにしました。塩は純白で不浄を許さず、お客さんを清め、料理を作ったり食べたりする場所が神聖であることを意識させます。

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そしてアーティストは、塩を使って作品をつくるインスタレーション作家・山本基氏を招聘。山本氏は、長い時間をかけて、床に迷路や渦巻状の巨大な模様を描いて作品を作るのが特徴です。展覧会最終日には、作品を鑑賞者と一緒に壊して、その塩を海に還すというプロジェクトを実施。イタリア人たちは作品を壊すという作業を楽しみました。

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山本氏は1966年に広島県で生まれ。1995年に金沢美術工芸大学を卒業。金沢市在住で、亡き妹との思い出をテーマに、日本全国で浄化や清めの意味を持つ「塩」を材料としたインスタレーション作品を制作。これまでMoMA PS1、エルミタージュ美術館、東京都現代美術館、金沢21世紀美術館など国内外の主要美術館で作品を発表し続けています。

山本氏は、「にっぽん サローネ」のオープニングスピーチで「日本人が一番よく食べている外国料理はイタリア料理で、最近はイタリア人も和食に親しむようになってきた。お互いに身近になった「食」を通じて文化交流が出来る時代になった。お互い、さらに理解を深めていけることを願っている」と語りました。マルコ・ポーロのジパングではありませんが、山本氏の巨大な塩の作品を通して、イタリア人は新しい日本を発見したことでしょう。

なお、会場内に、山本氏および作品を解説する動画も制作し、合わせて展示しました。

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今回のクリエイティブ・ディレクションは、1400年以上続く家に生まれ日本文化を身近に感じながら、子供の頃はヨーロッパで育った近衞にとって、「外国の方に日本をいかにわかりやすく伝えるか?」という幼少期からの経験を、遺憾無く発揮できる機会でもありました。

 

ジャパンサローネは、農林水産省、経済産業省、内閣府、総務省、観光庁および日本政府観光局(JNTO)、日本貿易振興機構(JETRO)が連携、さらに50を超える企業・団体・自治体の出展・協力を得て、期間中3万人を超える来場があったそうです。

日本政府の仕事は、責任重大なミッションでしたが、日本の伝統を如何に商業ベースの中で、美しくかつ効果的に表現するかを追求する良い経験となりました。貴重な機会を頂いた関係者の皆様に、改めまして、心より感謝いたします。

ご参照:
​現代美術アーティスト 山本基   http://www.motoi.biz/

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Creative Director & Calligraphy: Tadahiro Konoe

Client: Dentsu

Official Website: http://japansalone.jp/en/

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