【Report】「寛永行幸四百年祭」
- Jingu
- 24 時間前
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皆さまは、「寛永行幸」をご存知でしょうか。
1626年(寛永三年)、京都で平和を象徴する歴史的な出来事が起こりました。
2026年は、その出来事から400年という大きな節目の年にあたります。
この記念の年にあわせて開催されるのが、「寛永行幸四百年祭」です。
本プロジェクトは、京都府・京都市をはじめ、行政・経済界・文化芸術団体などが参画する、オール京都の組織「文化庁連携プラットフォーム」による取り組みの一環として、年間を通じてさまざまなイベントが予定されています。
弊社・近衞は、本プロジェクトのロゴデザインを担当しました。

平和の祭典「寛永行幸」を現代へ
1626年(寛永三年)、後水尾天皇が二条城へ行幸し、徳川家がこれを迎えた出来事が「寛永行幸」です。「二条城行幸」とも呼ばれ、戦乱の世を経て、公家と武家が手を取り合った、平和の象徴的な出来事として知られています。
2026年12月6日(日)には、当時の絢爛豪華な行列を再現する記念イベントが予定されています。そのほかにも、京都のみならず全国各地で、寛永文化を振り返る多彩な催しが、年間を通じて企画されています。
デザインの核心は「御所と二条城のズレ」
近衞が手がけたロゴマークには、寛永行幸の歴史的背景と、京都の地理的事実が重ね合わされています。デザインの着想の基となったのは、京都御所と二条城の位置関係です。
北極星(真北)を基準として建てられた京都御所に対し、方位磁石(磁北)を基準に築かれた二条城は、東に約3度傾いています。

この違いは、「地図上の北(真北)」と「方位磁石が示す北(磁北)」の差によって生じるもので、「偏角」と呼ばれます。
京都御所は、平安京の碁盤の目に沿って建てられました。
平安京の都市計画は、動かない星である北極星を基準に北を定めているため、現在の地図における真北と一致しています。
一方、二条城は方位磁石を用いて建てられました。地球の磁力は、地下深くの外核に存在する溶融した鉄の流れによって生み出されており、北磁極の位置は常に変動しています。その影響を受け、二条城が築かれた当時、磁北は東に約3度ずれていたのです。
この物理的な「ズレ」が象徴するように、公家と武家は長く対立関係にあり、両者の価値観には大きな隔たりがありました。
そのズレを乗り越え、融和と平和を実現しようとした出来事こそが、「寛永行幸」だったのです。
寛永行幸を支えた人物・近衞信尋
この行事の実現に尽力した人物の一人が、近衞信尋です。後水尾天皇の実弟であり、大名家との関係も深かった信尋は、将軍家と朝廷の間を取り持ち、寛永行幸の実現に大きな役割を果たしました。
ロゴに用いられている「寛永行幸」の文字は、信尋が記した『寛永三年行幸日記』から採られています。父・近衞信尹の三藐院流(さんみゃくいんりゅう)を継承し、卓越した能書家としても知られる信尋が、26歳頃に書いた文字とされています。
二条城にて記念屏風を公開中
プロジェクトの始動にあわせ、現在、世界遺産・二条城では、近衞がデザイン・監修した「寛永行幸四百年祭」の記念屏風が展示されています。

また、9月からは泉屋博古館(京都・東山)にて展覧会が開催される予定です。
屏風の背景に用いられている「二条城行幸図屏風」(京都市指定文化財)も展示されます。
12月6日に行われる時代行列では、実際に当時行列が通った道を、参加者が装束を身にまとって歩く企画が予定されています。現在、専門家による時代考証のもと、装束や牛車などについても、可能な限り当時の姿を忠実に再現すべく準備が進められています。
この行列には一般参加も可能です。下記リンクよりお申し込みいただけますので、ぜひご参加ください。
時代行列への参加申し込み▼
400年前の「おもてなし」の心と、現代のクリエイティブが融合する「寛永行幸四百年祭」。2026年、京都がこの記念の年で大いに盛り上がることに、どうぞご期待ください。
【以下参考文献】
公式ホームページ https://kaneigyoko400.jp
公式Instagram https://www.instagram.com/livinghistorykyoto/
泉屋博古館:特別展 寛永行幸四百年記念 寛永行幸 -花の都の文化人(仮) https://sen-oku.or.jp/program/202609_splendidparade400/
美術手帖:「寛永行幸四百年祭」が京都で開催。江戸時代の「寛永文化」が令和によみがえる https://bijutsutecho.com/magazine/news/exhibition/31622
読売新聞:日本史上最も豪華なもてなし「寛永行幸」400年再現探る…市民団体が催し計画 https://www.yomiuri.co.jp/local/hashtag-kyoto/CO072596/20250416-OYTAT50009/
朝日新聞:江戸初期の京を彩った寛永行幸 26年12月に再現 二条城へ行列 https://www.asahi.com/articles/ASTB03FW5TB0PLZB001M.html
プレミアムジャパン:400年前に京都のまちが熱気に沸いた!江戸時代の一大イベントを今に蘇らせる「寛永行幸四百年祭」プロジェクトとは? https://www.premium-j.jp/premiumsalon/20250324_48645/#page-6
プレミアムジャパン:知られざる魅力がいっぱい!400年前の京都で生まれた「寛永文化」ゆかりの地をめぐり、日本の美意識のルーツに触れる https://www.premium-j.jp/premiumsalon/20250325_48669/#page-48
松井孝治京都市長が寛永行幸四百年祭プレイベントに訪れた際の写真 https://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/cmsfiles/contents/0000348/348218/120101.jpg
ARTAGENDA:「寛永行幸四百年祭」2026年12月6日「寛永行幸行列」再現イベント開催予定https://www.artagenda.jp/IrsKobe3631/artblogs/580




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